9月1日は「防災の日」だった。過ぎてしまったが、災害列島に住んでいることを自覚し、身の回りはもちろん、職場でも備えを再確認したい。特に、旅館・ホテルは宿泊客の命を預かる商売だ。災害に対する備えに怠りはないと思うが、防災の日を契機に改めて意識を高めてもらいたい。
令和の時代になっても、やはり自然災害はなくならない。最近では、台風15号の影響が予想以上に長引き、千葉県では停電や断水などが続いて市民生活に大きな支障を来した。異常気象が当たり前になりつつあるようで、いまは誰が被害者になってもおかしくはない状況だ。
「マイ・タイムライン」という言葉がある。台風や大雨の水害など、これから起こるかもしれない災害に対し、一人一人の家族構成や生活環境に合わせて、「いつ」「誰が」「何をするのか」をあらかじめ時系列で整理した自分自身の防災行動計画のこと。
15年9月の関東・東北豪雨で鬼怒川が氾濫した際、住民が逃げ遅れた反省から、茨城県常総市などの呼び掛けで始まったとされ、徐々に広がっているという。東京都も今年5月、東京マイ・タイムラインを作成。都民の的確な避難行動計画の実現に向け、普及啓発を展開していくとしている。
災害に強いインフラ整備による「国土強靭(きょうじん)化」を真剣に考えるべきではないか。大雨による道路の冠水や堤防の決壊による河川の氾濫、ライフラインの寸断など、大きな被害が出ている映像を見るにつけ「このままでいいのだろうか」と思う。
毎年どこかで同じような被害が出ている。せめて被害を小さくする手立てはできないものか。
レジリエンスジャパン推進協議会(会長、江頭敏明・三井住友海上火災保険常任顧問)という一般社団法人がある。
レジリエンスは強靭さ、復元力などを意味し、協議会は毎年「ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)」を実施している。今年は愛媛県の今治市やNPO今治センターなどが手掛ける「今治市クリーンセンター」がグランプリを受賞している。
ちなみに、協議会の特別顧問には国土強靭化を提唱する二階俊博自民党幹事長が名を連ねており、「二階俊博国土強靭化提唱者賞」も設けられている。こうした取り組みがもっと注目され、国土作りに生かされることを期待したい。
防災訓練では外国人を視野に入れた取り組みも出てきているようだ。入管法改正で外国人労働者の受け入れも始まり、人手不足と相まって、外国人が労働力の担い手となってくる。いざとなった時にどうコミュニケーションをとるのか、防災面でも意識する時代になってきた。
ボランティアセンター運営訓練に参加する安倍首相(首相官邸HPから)